今月の『日本のこと』コラムは
1500年続く祭りについて。
皆さまの中には『伊勢神宮』に
お参りされたことのある方も
多くいらっしゃると思います。
そんな伊勢神宮で、
1500年にわたり、
朝夕、毎日行われている
日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)
というお祭りがあることをご存知でしょうか?
お祭りといっても、
賑やかにお神輿が出るようなものではなく、
内宮と外宮、別宮
それぞれのご祭神に
お食事を奉る神事で、
『国安かれ、民安かれ』と
祈りと感謝が捧げられます。
1500年。
戦時中、伊勢に焼夷弾が降り注ぐ日も、
5,000名以上の死者・行方不明者がでた
伊勢湾台風があった日も、
休むことなく粛々と朝夕行われてきた祈り。
ご修行を積み、
身を清めた神職の方がこの役割を担います。
ただ、ごはんをお供えするだけではなく
今日も1日、日本人が飢えないように、
飢饉などで困らないように、
国民が幸福であるように、
と1500年続けられた祈り。
私たちは、1日も欠かすことなく
祈られているのです。
とはいえ、「祈り」で何かが変わる?
あやふやなものだし、気休めじゃない?
そう感じるかもしれません。
ですが、現在
《祈りの力》が
科学で検証されはじめています。
サンフランシスコ総合病院で
呼吸器に疾患のある393人の患者さんを
ランダムに2チームに分け、
10か月近くかけ
こんな実験が行われました。
A:祈られる患者さんチーム
B:祈られない患者さんチーム
<結果>
○Aグループは、抗生物質の投与が
Bグループの6分の1で済んだ
○Aグループの肺気腫への移行患者は、
Bグループの3分の1だった
○Aグループは、人工気道を
1人も必要としなかった
○祈った教会からの距離は関係なかった
何回やっても同様の結果になったそうです。
医学博士のウィリアムノーラン博士は
「この実験は成功しているといえる。
我々は処方箋に、
『1日3回祈って下さい』
と書くべきなのだろう」
と仰っています。
ハーバード大学のベンソン博士は
『祈りは
呼吸数・心拍数・二酸化炭素排出量・
酸素消費量を抑制し、
がんや糖尿病、高血圧、
不妊症、不眠症改善に効果的だった』
と発言。
ボストン大学でも
同様の研究がおこなわれています。
このときの病院と教会の距離は約5000㎞。
シスターが
名前を手渡された患者さんの為に
・この方たちが良くなりますように
・この方たちの病気が治癒しますように
と、祈り始めたその瞬間から
モニター数値に変化が出たそうです。
祈られていない方々には変化なし。
現在アメリカでは
《精神神経免疫学》
という分野が立ち上げられています。
心や思考の力が、
科学的に証明され始めている
時代なのかもしれません。
翻って日本はどうでしょう。
日本語での「祈り」は、
もともとのニュアンスでは『意宣り』
大和言葉で
『い』には命や本質という意味が、
『り』には理(ことわり)法則やルールという意味が
あるそうです。
つまり日本人にとって祈ることは、
『人生そのもので、本質に近づく行為』
だったのですね。
本来祈りとは、
何かを願い、請うのではなく、
自分自身の意思を
宣言するものなのかもしれません。
1500年以上もの古来から
《日本が、そこに住む人々が
食べることに困らず幸せであるように》
と祈られてきた国。
1500年後の未来も、
そんな優しい国柄が続いていますように。